人の身体の中では、いつも熱が作られています。(産熱)
この熱を外に逃がす事(放熱)で体温は36~37度に保たれています。
しかし、運動などで身体を活発に動かすと筋肉で沢山の熱が作られて、体温が上がります。
またたとえ身体を活発に動かさなくても、暑いところにいたり、日差しや照り返しで体温が上がることがあります。
体温が上がると身体の表面(皮膚の下)を流れる血液の量が増えて、体内の熱を身体の外に逃がしやすくなります。
血液が身体全体に行き渡る為、一時的に血液が足りなくなり、血圧が下がることがあります。
その時は脳に充分な血液が送られず酸欠状態になり、めまいや立ちくらみを起こしたり、意識を失うことがあります。
これが「熱失神」です。
いちじるしく体温が上昇する時は、汗をかくことでも体内の熱を外に逃がします。
汗をかいて体内の水分を失った時、十分に水分を摂らないと脱水症状になります。
脱水症状が続くと、全身倦怠感、悪心、嘔吐、頭痛などの症状が見られるようになります。
これを「熱疲労」と言います。
汗は血液から作られます。汗が蒸発することで、効率よく身体の中の熱を外に逃がし、体温を下げる事ができます。
汗の中には電解質(イオン)が含まれており、汗をかくと水分だけでなく、電解質まで失われてしまいます。
汗で最も失いやすい電解質は、血液中に最も多いナトリウム、つまり塩分です。
そのため汗をかいた時に水だけ飲んで塩分を補充しないと、身体の中の塩分が不足してしまいます。
塩分は筋肉の収縮を調節する役割がある為、塩分が足りないと手足がつるなど、筋肉のけいれんを引き起こすことがあります。
これが「熱けいれん」です。
さらに体温が上がり、体温を調節する働きが追いつかなくなると、脳に影響が及び、倒れたり、意識の障害をきたすことがあります。
これが「熱射病」で身体にとって非常に危険な状態です。
上記は熱中症の発生のメカニズムです。
連日記録的な暑さが続いていますね。テレビでは「命にかかわる暑さ」と言って厳重警戒を訴えています。
最近は熱射病や日射病という言葉ではなく、「熱中症」という言葉しか聞かなくなりましたね。
日本神経救急学会と日本救急医学会は暑さ、蒸し暑さ、強烈な日差しなどの環境でおこる
上記のような体調不良を総じて「熱中症」として統一しました。
2000年以降に広がって、現在では「熱中症」という言葉が主流になりました。
熱中症の発生数および死亡者数は、近年、増加傾向にあります。
写真のグラフを見てください。
熱中症による死亡数は、1993年以前は年平均67人だったものが、1994年以降は、年平均492人に増加しています。
環境省熱中症予防情報サイトは、これについて夏期の気温が上昇していることが関連しているとみられると分析しています。
事実、記録的な猛暑で熱中症による死亡者が最も多かった2010年には1745人に上っているのです。
私達の子供の頃は熱中症で亡くなるなんて考えられませんでした。
確かに今ほど暑くはなかったかもしれませんが、扇風機しか無い生活でした。
私が思うに大きな要因は
気温だけで無くて、日本の人口構成と、外に出る事が少なくなった事ではないかと思っています。
日本は高齢化が進んで昔よりも、老人の比率が高まっています。熱に対しての抵抗力が少ない老人は、熱中症になる割合も高くなります。
また子供も、外で遊ぶことが減って、汗をかくことが少なくなりました。
適度に汗をかくような運動を日常的に続けている人は熱中症にかかりにくい傾向にあります。
汗をかくことで、その汗が乾く時の気化熱で体を冷やしてくれます。
さらに、運動をして筋肉量が増えると、筋肉には水分を蓄えることができる働きがあります。
体内に蓄える水分量が多いので、熱中症になりにくいのです。
健康のためと高齢になって、野菜ばかり食べていると、タンパク質が不足して筋肉も細くなります。
その結果身体に水分を貯めておくことが出来なくなり、少しの暑さでも熱中症になるのです。
運動して、いきなりステーキに通う。これからは必要かもしれません。
※ 水分補給に冷やしたお茶を飲んでいる方も多いと思いますが、緑茶にはカフェインが含まれているので逆効果です。
利尿作用で水分が出ていってしまいます。
飲むなら、カフェインの入っていない、ルイボスティーや麦茶がお勧めです。
ジュースなどでは、水以外の成分を腎臓や肝臓で濾過して使うので負担になります。
またコーラや甘いジュースには、500mlのペットボトルに平均して40〜50gの砂糖が入っています。
角砂糖10〜15個に相当します。
運動をしないのに、毎日ガブガブ飲んでいると糖尿病になりますから要注意。
私も運動をしない日は、CCレモン控えたいと思います。
基本的には水を飲んで梅干しを食べるのが良いかと思います。