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「ミトコンドリア」って何?

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骨や筋肉、血管を見てきました。
血管によって細胞に運ばれた酸素や栄養はどのようにして身体に生かされているのでしょうか?
私たちの身体を動かしているエネルギーはどのようにして生まれるのでしょう?

その鍵を握るのが細胞の中にあるミトコンドリアです。
名前から宇宙から来た細菌のような名前に聞こえます。
実は私たちの身体には元々なくて約20億年前に寄生虫のように外から入ってきたものだったのです。

ミトコンドリアとは、私たちの細胞の中にある小器官の一つで、細胞全体の10~20%を占めています。
細胞によっては、100~3000個のミトコンドリアが含まれており、さまざまな役割を果たしています。

その中でも最も重要な役割が、発電所のようにエネルギーを作り出す働きです。
ミトコンドリアでは、食事から摂取した栄養と、呼吸から得られた酸素を使って、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを放出する物質を作り出します。

昨年ハワイのホノルルマラソンを完走したみなみちゃんは感じていると思いますが
ジョギングを始めると、同じ距離を走っても、最初のうちはとてもきつかったのに、走るのに慣れてくると、それほどきつく感じなくなります。

これは、運動によってミトコンドリアが増え、呼吸で取り込む酸素量はいっしょでも、効率的に酸素を使えるようになったためです。
最初は、エネルギーを生み出すのに必要な酸素を無駄にするため、ハアハアと息が切れますが
走ることで体内のミトコンドリアが増えてくると、エネルギー代謝がよくなり、酸素を有効に使えるようになり
息を切らさずに走れるようになるのです。

ミトコンドリアは、私たちの健康や老化の問題と、非常に深い関連があることがわかってきました。
年を重ねるについて、ミトコンドリアの量は次第に減ってきます。
また、ミトコンドリアには、質の良いミトコンドリアと、質の悪いミトコンドリアがありますが
年をとったり、悪い生活習慣などが続いたりすると、「質の悪いミトコンドリア」がふえていきます。

それが、私たちの老化のスピードにも大きな影響を及ぼすのです。
ミトコンドリアの数が不足したり、質が低下したりすると、作られるエネルギーが不足します。
少ないエネルギーは、まず第一に呼吸や体温調節など、生きるためにどうしても必要な部分に優先的に使われます。

この結果、若さを保つために働いている老化防止機能や、遺伝子の修復作業などを行う長寿のためのシステムに
エネルギーが十分に回されず、それらのシステムがちゃんと機能できなくなります。
それが、老いや、ガンなどの病気につながってくるのです。

最新の研究によれば、ミトコンドリアの生み出すエネルギーの低下が、認知症の原因の一つとなっていることも分かってきています。
つまり、ミトコンドリアの量と質をよくしてやることによって、私たちは、エネルギーを作る能力をアップさせることができます。
それによって、体力がアップするだけでなく、年をとってもなお若々しく、健康な体を維持することが可能になるのです。

では、どうすれば、ミトコンドリアを増やせるでしょうか。

それには、体にエネルギーを必要としていることを分からせることが重要です。
そのために、いくつかの方法があります。

① ややきつめの有酸素運動

有酸素運動とは、酸素を使って脂肪を燃やす運動で、ランニングなどのことです。
ちなみに運動をする際には、その前になるべく食べ物を摂らないようにした方がよいです。
体を、エネルギーが枯渇した状態にしたうえで運動することで、ミトコンドリアがより増えやすくなります。

インターバル速歩や早歩きなど、少し負荷をかけたウォーキングをしてみましょう。

② 寒中水泳・サウナ後の水ぶろ

寒いところで運動することも、ミトコンドリアをふやす効果があることもわかっています。
寒さを感じると、体は、「エネルギーが必要だ」と判断し、ミトコンドリアをふやそうとするのです。冬に運動をするとダイエットに効果的な理由です。

寒稽古や寒中水泳を行っていると、体がポカポカとしてきます。
これこそ、ミトコンドリアが活性化している証拠です。
ミトコンドリアをふやす量産体制に入るのです。

寒中水泳や水ぶろに入るのが難しい方は、家庭で入浴後、足先に水シャワーをかけるだけでも、効果が期待できます。
ラグビーやサッカー選集が試合後に水風呂に入る理由もここからきているのですね。

③ 週末のプチ断食

ミトコンドリアをふやすためには、空腹感が最も大切であることがわかっています。
簡単な方法は、週に1~2度のプチ断食です。
例えば、平日は、ふだん通りの食事をします。
それで、週末の1、2日だけ、3割程度、摂取カロリーを減らせばよいのです。
例えば、朝は野菜ジュース、昼はざるソバなどの軽食、夜も、軽めの夕食にします。

食事の際には、早食いは禁物です。
早く食べることで、老化の原因となる活性酸素を作り出してしまうからです。
活性酸素を余分に生み出さないためにも、一食に30分以上かけるつもりで食べるのがいいと思います。

④ 背筋を伸ばす、片足立ちをする

日常生活で試みてほしいのは、背すじをよく伸ばすことです。
私は猫背で食事をする時に前屈みになります。いつも家内から怒られています。
座っている時も、立っているときも、背すじをピンと伸ばすようにしましょう。
姿勢が良くなって若々しく見られるだけで無くて、ミトコンドリアは、筋肉の中に多く含まれているのですが
姿勢を保つための筋肉、ことに背筋と太ももの筋肉に、ミトコンドリアがたくさん含まれているからです。

また、片足立ちも有効です。

片方の足を1分ずつ、片足立ちをすることで、普段より倍の負荷(体重)を、体に与えることができます。
同時にバランス感覚も鍛えられます。かかと落としの時にいっしょにやってみてください。

実際、いろいろな条件下でミトコンドリアの量を計測して、わかってきたことがあります。
それは、適切な運動などを続けると、短い期間でミトコンドリアがふえて、端的に効果が現れるということです。

1日2時間の運動を一週間続けると、30%程度、ミトコンドリアの量がふえることが、人の臨床的な実験からもわかっています。

もともと人の細胞にはミトコンドリアは存在してなかったのです。
人の細胞には糖を分解してエネルギーに変換する機能しかありませんでした。
しかしこれでは一時的にエネルギーは発生させても長続きしません。無酸素運動のようなものです。
それで有酸素運動のように酸素をエネルギーに変えてくれて長時間活動出来る力のあるミトコンドリアの機能を借りていたのです。
会社で言えば派遣社員のような存在でした。しかしあまりにも優秀なので正社員として人間の細胞の中で活躍してもらうようになったのです。

なので細胞の核のDNAとは違う独自のDNAを持っています。

このミトコンドリアが持っている独自のDNAは母親からのみ受け継がれ、決して父親のDNAが子に伝わることはありません。
その祖母も母方の母から受け継いでいるのですから、何代さかのぼっても、ミトコンドリアを伝えてくれた先祖はたった一人なのです。 
現在地球上にすむ60億人が持っているミトコンドリアの起源をたどれば、すべてのヒトが
ヒトとして姿を現した太古の集団まですべて一本の線で繋がっているのです。

ミトコンドリアDNAの分析から、現在の人類の祖先はすべて15万〜20万年前にアフリカにいた
1人の女性の子孫であるという「イブの仮説」が生み出されています。

日本人は、95パーセントの人々が9人のイブの娘たちの子孫と判定できるそうです。

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私が昨年受けた遺伝子解析の中に祖先解析という項目があります。
ミトコンドリアのこの特徴を元に解析した結果です。
私はGグループ。写真のように日本人の7%で、2万7千年前に北のほうや朝鮮半島を経由して入植したようです。

凄いことが分かる時代になってきましたね。