筋肉はデリケートで、長時間によるデスクワーク、運動によるオーバーワーク、ストレスなど、さまざまな原因で固くなってしまいます。
そして筋肉はしゃべることができないので、限界を超えた時に離れた場所に痛みを飛ばします。関連痛とも言うそうです。
肩凝りのある同級生は自分の首や肩を触ってみてください。
コリッとした硬くなった筋肉の固まりを感じませんか?
肩や腰のつらい凝りと密接に関わる存在として、最近注目されているのが「筋膜」です。
あまり聞きなれない言葉ですね。
例えば、鶏肉の表面を覆う皮をめくると、肉と皮の間に薄い膜があります。これが筋膜で
ちょうど筋肉をストッキングで包んだようなイメージです。
全身の筋肉をボディースーツのように包み込み、同時に筋肉の中にも入り込んでいるため、第二の骨格とも言える重要な存在です。
頭から手や足の先までを、くまなく覆っています。
筋肉の外側だけでなく、中にも入り込んでいる筋膜は、肩や腰の凝りとも密接に関わっています。
長い時間同じ姿勢をとったり、筋肉を使いすぎたりすると、筋肉がギュッとがんばってしまい、その上にある筋膜も硬くなります。
それが全身を覆っているため、いろんな経路で様々な場所に影響し、例えば昔の足首のケガが肩凝りにつながったり
ギターを弾く人の 腱鞘炎が肩凝りになったりと、全身がつながっているのが筋膜の特徴です。
自由になめらかに動くのが、本来の筋膜の姿です。
その状態に戻すため、筋膜を「リリース」してほぐす方法があります。
リリースとは解放する、解除するといった意味で、筋膜をはがしたりするわけではありません。
ねじれてよじれた筋膜をじっくりほぐして軟らかくし、それが全身につながって
肩凝りや腰痛など様々な場所に波及して良い効果を及ぼすのです。
マッサージに行けば、瞬間的にはほぐれた感覚があり、血液の循環もよくなりますが、翌日などには戻ってしまいます。
根本的な解決がなされていないことが多いためです。これに対して、筋膜リリースで全体を通して筋膜がほぐれると、効果は持続します。
その部分に原因がない場合でも、広い範囲での改善が期待できるためなのです。
首都大学東京大学院の竹井教授が考案した筋肉リリースの体操を紹介したいと思います。1日の隙間時間を利用してやってみて下さい。
◎ 肩に効く「平泳ぎ風体操」
肩甲骨の周りには筋肉が多くあり、肩甲骨に17種類、鎖骨も含めると20種類以上の筋肉がついています。
それが左右両方にあって、その周りで筋膜が硬くなると、肩甲骨の動きが悪くなります。
特に日本人は、肩甲骨の動きが硬くなりやすいのですが、それは日本人が真面目なためか、姿勢をあまり変えないのが原因です。
そのため肩甲骨の周りが硬くなり、しかも猫背になりあごが前に出て、肩や首が凝るのです。
同じ姿勢でいるのは良くないので、姿勢を時折、変えましょう。
まずは手と肘を肩と同じ高さに上げ、両方の肩甲骨を前に押し出します。背骨から肩甲骨が離れて開きますが
この時に背中を丸めず、肩甲骨だけを前に押し出して20秒数えます。
その後、肘をゆっくり後ろに引いて、肩と同じ高さで胸を前に押し出すように、あごを引いてさらに20秒。
最後に、肘を肩より前に戻して手のひらを前に向け、肘を中心に肩甲骨を起こすように手を上げる、これで20秒です。
◎ 「肩甲骨回転+シェー」体操
2つ目は肩甲骨だけでなく、手の指の先から足の指の先まで使って、広い範囲でリリースする体操です。
「シェー」のポーズがポイントです。
肩甲骨や腰の辺りなど、個人によっては引っかかる部分が違うかも知れませんが、引っかかるところに時間をかけることが大切です。
立ってまず右肘を頭の後、左手を腰の後ろに当てます。
肘を90度に曲げる構えで、両方の肩甲骨を後ろから見て反時計回りに回し、20秒数えます。
その後、今度は足を交差し、安定したら体を左に倒します。右の足の下からお尻
右の腰、右の肩甲骨まで伸びますので、ここでまた20秒です。
最後に、右膝と右肘はその位置のまま、鼻だけを左肩に近づけて20秒です。
体はひねらないようにしてください。連続して3つのポーズを取り、全身の筋肉を使うので、地味に見えてもけっこう汗をかく体操です。
◎ 肩と腰をほぐす「見返り」体操
3つ目は「見返り」体操で、腰と肩、足や全体に効く体操です。
まず歩く時のように、左足を前に出して右手を椅子の背もたれにおきます。
そして、前の左膝を曲げて右脚は伸ばしたまま、左手を天井方向にまっすぐ伸ばして上げ、ここで20秒。
そして体を左に回して20秒。最後に右肘を背もたれにつけて、さらに体を回して20秒という3段階です。
腰をひねる体操ですので、腰が痛い場合は無理しないでください。
足はしっかり地面を押す感じで、手は上にしっかりと伸ばす。
腰を反らないよう手を天井の方に伸ばすのが大切です。
どうですか?
この3つの体操で、筋膜はかなりほぐれます。
夜にまとめてやろうと思っても、疲れていることも多いので、朝昼晩に歯磨きと同じ程度に、繰り返してみてください。
姿勢が良くなって若返り、代謝も良くなるので、ダイエットの効果もあるそうです。