ある夫婦には3人の子供がいて、その内の2人は頭脳明晰でとても良い子だった。
しかし残る1人だけは容姿も2人と違い、あらゆる面で出来が悪かったのです。
そんな時妻が大病を患い、余妙いくばくもなくなった時に、夫は妻に意を決して真相をたずねました。
「おまえは本当に俺によくしてくれた。しかし一つだけ聞きたい事がある。恨まないから本当の事を教えてくれ。
あの末っ子だけができが悪いのはおかしい。本当に俺の子供だろうか。」
すると、妻は迷った末に、こう答えました。
「ごめんなさい。あの子だけがあなたの子です。」
悪い冗談ですが、子供は親を選べません。
両親の半分づつの遺伝子を貰って生まれてきます。
生まれた時から遺伝子によって設計図が書かれていて、性格や体質は変えられないと思われてきました。
2019年5月5日と5月12日、2週にわたって私の尊敬するIPS細胞の山中教授とタモリが司会する人体2で「遺伝子」の特集がNHKで放送されました。
見られた同級生もたくさんいらっしゃると思います。
第1週の内容
今まで「遺伝子」と呼ばれ、詳しい解析が行われてきたのは、全DNAの2%に過ぎない。
技術の革新は、ゴミとさえ言われてきた残り98%の領域の秘密を解明しはじめている。
そこには個性を決めるDNA、病気から体を守るDNA、さらには、人類進化の秘密を解き明かす鍵まで眠っていることが明らかに。
それこそ「トレジャーDNA」。
あなたの細胞の中で繰り広げられる、驚きの世界を描き出す。
第2週の内容
DNAが運命を決める―。そんな常識が今、「DNAのスイッチ」の発見によって覆されようとしている。
なんと、このスイッチのONとOFFが一人ひとりの体質だけでなく、能力まで決めていることが分かってきた。
さらに、がんや糖尿病などの病の発症までDNAのスイッチが左右していると言うのだ。
最新研究は、DNAのスイッチを自在にコントロールすることを実現。人類の運命を大きく変えようとしている。
遺伝子にはとてつもない情報が書き込まれています。
その情報を活かすのはその人の努力次第なのだと思いました。
「鳶が鷹を生む」ということわざがあります。
平凡な親からすぐれた子供が生まれることのたとえです。
人間には一人一人多くの可能性を持っているものの、たいていそのスイッチがオフになっています。
世の中に天才と言われる人は優秀なDNAを持っているのではなく、遺伝子のあるスイッチがオンになっている人の事なのです。
現在どうすればスイッチをオンに出来るかの研究が世界中で行われています。
運動する→「脳の神経細胞を成長させる遺伝子」のスイッチがオンに→記憶力アップ
音楽を聴く→「聴覚に関わる神経伝達物質」を作るスイッチがオンに→音楽能力アップ
ほかにも、「老化を進める遺伝子」のスイッチをオフにして肌を若返らせようという研究や
寿命を延ばしたり、糖尿病を防いだりといった、楽しみな研究が世界中で進められているそうです。
私が7年前に、DNA解明の世界的権威・筑波大学名誉教授の村上和雄先生の「SWITCH―スイッチ 」という本を読みました。
まさに今回放送された内容が、すでに書かれていたのです。
先生が遺伝子のスイッチをオンにする方法を教えてくれています。
それは、日常生活をはつらつと前向きに生きることだと言うのです。
「イキイキ、ワクワク」する生き方こそが、人生を成功に導いたり、幸せを感じるのに必要な遺伝子をONにしてくれるというのです。
なかなか世の中、難しいかもしれませんが、意識してそのように持っていきたいですね。
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「物事を良い方へ考える、つまりプラス発想という事が非常に大切になっています。
プラス発想で注意しなければならないのは、困難や窮地の時です。
物事が順調に運んでいる時は誰でもプラス発想ができます。
しかし、つらい局面に立たされた時、その状況でどれだけプラス発想ができるかです。
自分の身に起きることは「全てプラス」というとらえ方をすることです。」
「ギブ・アンド・ギブの実践です。人間関係の基本はギブ・アンド・テイクと一般には考えられていますが
でも心構えとしてはギブ・アンド・ギブが正解なのです。
遺伝子をONにもっていきたいのなら、ギブ・アンド・ギブの方がはるかに効果的です。
本当に大きなテイクは天から降ってくる。
そういうテイクをとりたいのなら、ギブ・アンド・ギブでいくべきです。
ギブ・アンド・ギブでやっている人の周りには人が集まってきます。」
「人間の遺伝子の中には、代々の祖先だけでなく、過去何十億年にわたって進化してきた過程の記憶や能力が入っている可能性があります。
受精から誕生までに進化の歴史を再現するのは、最初の細胞の遺伝子の中にそれらの情報が入っていたからです。
極端に言えば一人の人間の遺伝子に人類全ての可能性が宿っている。
だから優れた親は、パッとしない自分の子供を見てガッカリしてはいけないのです。
パッとしないのは遺伝子がONになっていないだけ。
いつどこでどんな才能に火がつくか分かりません。
遺伝子は年をとらないのです。
十代のときと八十代の時の遺伝子は例外を除いて一緒です。
もし遺伝子が年をとって老化していたら情報を子孫へ伝える事ができません。
少なくても基本的に遺伝子は老化しません。
人間はいくつになっても、自分の才能を開花させる能力をもっているのです。
ある事をやろうという情熱と実行力があれば、どんなことも可能性はゼロではない。
それを阻害するのは「もうダメだ」という気持ちだけです。」
村上和雄 生命の暗号 - あなたの遺伝子が目覚める時 -より