脱プラスチックのその後

2018年の9月にもトピックで取り上げたプラスティックの問題。

15日から長野県で開かれるているG20(主要20カ国・地域)のエネルギー環境相会合でも
解決策が議論されています。
主要な議題の1つは、海洋プラスチックごみの削減だそうです。

プラスティック問題を解決するには

① 過去に投棄されたプラスチック製品の回収
② これから使用するプラスチック製品の削減とリサイクル

が必要です。

① 過去から未来にわたって投棄されるプラスチックの回収

投棄されたプラスティック問題の中で、1番難しいのがG20でも議題になっている海洋投棄のプラスティックです。

海岸に漂着するごみの7〜8割が日用品のゴミだそうです。
こうした海洋プラスチックの量は2050年までに魚の量を超えると予測されています。
1人当たりのプラスチックごみ排出量が世界2位を誇るにも関わらず、G7の「海洋プラスチック憲章」に
日本はアメリカと共に署名しなかったことで大きな批判を集めました。
自国の産業界に配慮した為です。

プラスチック循環利用協会の報告によると、ゴミとして回収されたプラスチック類の内訳は
ストローなどの容器包装以外のプラスチック類は16.2%。ペットボトルは14.4%。圧倒的な割合を占めているのが
弁当の容器やお菓子の袋などに使われる容器包装で67.6%だそうです。

日本は過剰包装の傾向が強く、スーパーで肉を買えば、厳重にラップされた商品を透明のビニール袋に入れられ
さらにレジ袋に入れられて渡されます。

同級生の皆さんは「太平洋ゴミベルト」の存在を知ってますか?

海流の流れの影響で、世界でもっとも多くのゴミが漂う海域が太平洋ゴミベルトです。

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米国カリフォルニアとハワイの間にあり、面積は日本の倍以上と言われています。
そのゴミの10~20%は2011年に日本を襲った東日本大震災の津波によるものと考えられています。
ゴミベルトに浮かぶプラスチックの数は1.8兆個と推定され
そのうちの94%を0.5~5ミリまでのマイクロプラスチックが占めます。
しかし重量ではたったの8%ほどです。

この直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックのごみであるマイクロプラスチックは
海洋生物の中に取り込まれているという調査結果があり、生物・生態系への深刻な影響が懸念されています。
この海域ではいま、オランダ人のボイヤン・スラットさんが設立した非営利団体
「オーシャン・クリーンアップ」によって、清掃活動が行われています。
現在23歳という若さですが、この問題に取り組み始めたときはまだ16歳だったんです。

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彼は大きなプラスチックがマイクロプラスチックになる前に、早く回収したいと日々活動をしています。
大きなフェンスを使ってプラスティックゴミを囲んで回収するプロジェクトに取り組んでいます。

② これから使用するプラスチック製品の削減とリサイクル

今、ストローやレジ袋の禁止など、使い捨てのプラスチックをやめようという動きが加速しています。
ウミガメの鼻に刺さったストローや、クジラから出てくるビニール袋といったショッキングな映像が
世界を動かしたのですが、それだけではありません。

石油という化石燃料から作られるプラスチックは、大量生産大量消費の現代文明の象徴です。
こうした私たちの文明そのものを、急速に“循環型”で“脱炭素”の経済に作り変えていかなければ
地球が持たないほど温暖化が加速していることが背景にあります。

先行しているのは環境問題に関心のあるEU諸国。
2021年から使い捨てのプラスチックの使用を禁止する法案を可決しました。

しかし日本は環境問題のパイオニアだと思っていましたが、かなり考えが遅れています。
現在のビジネスを優先して、将来のビジョンが無いように見えます。
昨年のトピックで日本の技術が世界を救うかもしれないと思って紹介した「ライメックス」。
石灰石から紙やプラスティックに代わる素材が作れるんです。

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地球を救え!石灰石からつくる革命的新素材

「LIMEX」の紹介ムービー

普通紙1トンを作る場合は樹木を約20本、100トン程度の水が必要です。
紙に比べライメックスは水の消費量が50分の1以下に減らせますし、木を伐採しなくてもよいのです。
また、プラスチック代替品として使えば、石油由来成分を6割は減らせます。

今年ライメックスは紙やプラスチックを代替する自社開発の新素材について、凸版印刷と用途開発することで合意しました。
現在は1kgが500円と上質紙の150~200円比較して高いですが、無尽蔵にある石灰石を使用しているので
コストダウンが出来れば世界に広まりそうですね。

日本政府が動かないなら民間の力で世界に貢献して欲しいものです。