インターバル速歩で生活習慣病改善 

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健康のために歩きましょう!とアンチ君が言うから歩き始めたけれど、続かない、効果が出ない...
それに膝が痛くて歩くのなんか無理ムリと思ってませんか?

それはもしかしたら「ただ歩いているだけ」だからかもしれません。

山の事故の9割は下山中に起こっています。
高齢者が階段でけがをするのも9割が階段を下りるときです。
これは、下りるときに使う筋肉が衰えて、つまずいたり転んだりしてけがにつながっているからです。
人間の筋肉量は35歳くらいでピークを迎え、その後は衰える一方。
しかも衰えやすいのは速筋という筋肉です。

私たちの筋肉には大きく分けて「速筋」と「遅筋」の2種類があります。

「速筋」は、短距離走など瞬発力を必要とするときに使われる筋肉で、階段を下りたり、急に止まるときなどの“ブレーキ”の役割をします。
色が白く魚で言えばヒラメですね。

もうひとつの『遅筋』は持久力に優れていて、長距離を歩いたり走ったりするときに使われるほか
階段や坂を上がるときにも活躍する筋肉です。色が赤く、魚で言えばマグロです。

速筋は、足を踏み外してもちゃんと着地して体を支えるといった、守る力を発揮してくれる筋肉なので
最近転びやすくなったという人は、速筋が鈍っているのかもしれません。

足と脳は深く連動していて、足が刺激されると脳神経が発達することがわかっています。
逆に、歩行が安定しなくなると脊髄の運動ニューロンが減少しているという研究結果もあるように
筋肉を失うことは脳の神経細胞を失うことと同じなのだそうです。

長寿日本一の長野県。

信州大学が参画して高齢者の運動教室「熟年体育大学」を開催しています。
参加者(男性198人、女性468人)を体力別に「低」「中」「高」に分け、「インターバル速歩」を続ける研究が行われました。

結果を開始前と5カ月後で比べたところ、5カ月後のほうが体力がつき、生活習慣病指標が大きく改善していたそうです。
しかも体力が「低」の群のほうで改善度がより高かったのです。

「インターバル速歩」とは、ゆっくり歩きと大股で息が上がるくらいの速歩きを3 分ずつ繰り返すウォーキングです。
「ただ歩いているだけ」では、あまり心拍数が上がりませんが、速歩が入るので運動強度が上がります。
インターバル速歩が、なぜ、生活習慣病の改善に効果をもたらすのか。

「速歩は筋肉を作ることに役立つ。筋肉をつけることがさまざまな病気予防のカギになるんです」と提唱者の信州大学の能勢教授は言います。

その鍵は以前にもトピックで取り上げた細胞内に存在するミトコンドリアです。
https://smcb.jp/communities/6877/topics/2256021
ミトコンドリアは車のエンジンのようなもの。車がガソリンを燃やして走るように
ミトコンドリアはブドウ糖や脂肪酸を燃やして生命エネルギーを作り出しています。

車も新しいうちは完全燃焼しますが、古くなると不完全燃焼を起こして排ガスを出すようになります。
ミトコンドリアも同じで、古くなると機能が低下して活性酸素を排出するようになります。

この活性酸素によるダメージが
脳の神経細胞に及ぶと認知症や高齢者うつになり
脂肪細胞に及ぶとインスリンの効きが悪くなり糖尿病になり
血液中にいるマクロファージなどの免疫細胞に及ぶと動脈硬化が起こって心臓病や脳卒中に
がんを抑制する遺伝子に及ぶとがんが作られる……というしくみです。
この理屈でいうと、現在、生活習慣病治療で使われている降圧薬や血糖降下薬も、すべて症状に対する対症療法でしかなく
根本的な治療とはいえません。

大事なのは、これらの病気に共通するミトコンドリアの機能低下を抑えることが第1です。

ミトコンドリアの機能を上げるには「筋肉をつけること」が大事で、簡単でお金をかけずにできる方法が速歩という事なのです。
私のようにジムに通って本格的に筋肉を鍛えるのも良いと思いますが、お金もかかるし、通うのも大変です。
気軽に出来るインターバル速歩なら、隙間時間をみつけてチャレンジできると思います。

◎ インターバル速歩のやり方

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基本はゆっくり歩きと、速歩を交互に3分ずつ5回、計30分間続ける。
スピードは「ややキツイ~キツイ」ぐらいが目安。
正しい歩行姿勢で、できるだけ大股で歩くのがポイントで、速歩初心者や、体力的に30分間続けることが難しい人は無理せず
数回に分けて行ってもよいです。

時計を見なくても出来る簡単なスマホ用アプリもあるようなので活用してみてください。
高血圧の予防にもなりますよ!