トピックの題名の年代は分からなくても、2011年3月11日といえば同級生の皆さんも理解されていると事と思います。
チェルノブイリ原発事故は、1986年4月26日にチェルノブイリ原子力発電所の4号炉で実際に起きた出来事です。
炉心はメルトダウン後に爆発し、飛散した放射性降下物が広い地域を汚染。
避難区域は2,600平方キロメートルにもおよび、約30万人もの周辺住民が避難を余儀なくされました。
2019年10月からスターチャンネルで全5話の「チェルノブイリ」というドラマが始まりました。
今年の5月にアメリカとイギリスで放映されて、絶賛されている話題のドラマです。
1980年代の、それも旧ソ連で起きた事故をどう映像化するのか?
チェルノブイリ周辺は、事故から30年以上を経た現在も立ち入り禁止の放射線汚染エリアに指定されているため、現地ロケは不可能です。
そこでチェルノブイリ原発と同型のリトアニアの閉鎖原発をロケ地に選び、廃炉になった原子力発電所の内部で撮影が敢行されました。
事故の処理を託されて、エネルギー部門の責任者として現地に派遣されるのが、本作の主人公となる核物理学者のヴァレリー・レガソフ。
そしてソ連閣僚会議の副議長ボリス・シチェルビナでした。
核物理学者のレガソフは、原子力発電の知識が無く事態を過小評価している副議長のシチェルビナに次のように説明しました。
「チェルノブイリ原発はウラン235を燃料として使っています。
ウラン235の原子はそれぞれが弾丸です。
光速に近い速度で飛び全てを貫きます。
木も金属も肉体もです。
1グラムのウラン235には弾丸が何兆個も含まれます。
チェルノブイリには300万グラムあり、今燃えています。
風に乗って放射性粒子が大陸中に広がり、雨と一緒に降ってきます。
何万、何億、何兆という弾丸が
空気や飲み水や食べ物に入り込みます。
弾丸の多くは100年間飛び続けます。
中には5万年間飛び続けるものも。
火力発電では石炭を燃やしますが、原子力発電では核分裂を利用します。
燃料はウラン235という不安定な物質で
その中性子という弾丸はウランから飛び出します。
もし多くのウラン原子を近づけてたら
ある原子の弾丸が別の原子にぶつかる
その衝撃で原子は分裂し膨大はエネルギーを出します。
中性子は非常に高速で移動しており、そのままでは原子にぶつかりません。
燃料棒を黒鉛で包み込むことで中性子を減速させるわけです。
しかし今その黒鉛が飛び散っている状態が、どれだけ深刻なのか分かりますよねと。」
そして放射線を大量に浴びてしまったらどうなるかについても説明します。
「放射線が細胞組織を破壊します。
皮膚に水泡ができ黒ずんでいく
その前に潜伏期が、症状が落ち着き回復の兆しが見えるが、それは見せかけです。
1〜2日すると急変する。
組織損傷が現れ始めます。
骨髄がダメになり、免疫系がやられる。
臓器や軟組織が腐り始めます。
血管がボロボロになって出血し、モルヒネも効かなくなり想像を絶する激痛に襲われます。
そして3日から3週間で死にます。
それが彼からの末路です。」
この説明を聞いて副議長のシチェルビナは事の重大さを思い知らされ、レガソフと協力して事故の対処に尽くしていくのです。
ドラマでは至近距離で強烈な放射線を浴びたことで、人の姿をとどめないほど、ただれて肉が崩れ落ちた体で苦しむ消防士の姿を映し出していました。
日本の東海村で起きた臨界事故を描いた『朽ちていった命 - 被曝治療83日間の記録』を読んでみてください。
放射線を大量に浴びたらどうなるかが、理解出来ると思います。
安全でクリーンな原子力発電を経済産業省はHPで盛んに宣伝していますが、1度事故を起こしたら取り返しのつかない事態になる事を、被災者の方は理解しています。
今このドラマを見て再度その現実を突きつけられた気持ちになりました。
関西電力の問題が話題になっている今、興味のある方は是非見てください。
詳しい解説は以下のサイトを参照してみてください。