先ずは、写真のように人差し指と親指を結び、ふくらはぎのいちばん太い部分を囲む「指輪っかテスト」をしてみてください。
囲めない、ちょうど囲める、隙間ができるという、3グループに分かれるかと思います。
65歳以上の人の調査では隙間ができる人が10%いるそうです。
この「指輪っかテスト」は、サルコペニアの危険度を測るためのものです。
サルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指します。
または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体機能の低下が起こること」を指す最近のキーワードです。
千葉県の調査では隙間ができると答えた人のグループは、囲めないと答えたグループの人より
サルコペニアにかかっている率が6.6倍も多かったそうです。
もちろん、隙間ができるグループの中で、まだサルコペニアにかかっていなかった人もいますが
その後の2年間の追跡調査によって、その人たちがサルコペニアを新規発症する率は、囲めないグループより3.4倍も多かったのです。
さらにショッキングなのは、隙間ができるグループの人は、囲めない、ちょうど囲めるグループの人より
3.2倍も多く死亡していたことがその後の4年間の追跡調査によってわかりました。
年をとれば誰もが身心の衰えを感じることは多くなります。
「年だから、しょうがないか……」と見て見ぬフリをしていると、 知らぬ間に健康状態が失われ、要介護の状態に進んでしまいます。
そこで、健康状態と要介護状態の中間の状態を指すという 「フレイル」の状態をチェックし
早期に予防しておくことが重要になってくるんです。
Frailty(虚弱)という言葉に由来する「フレイル」は、日本老年医学会が2014年に提唱した「老い」の新概念です。
高齢者の多くはフレイルの前後に、全身の筋肉量と筋力がガクッと落ちる
先程の「指輪っかテスト」のような「サルコペニア」という状態になっていきます。
この「サルコペニア&フレイル」から「要介護」に至る流れを遅くしたり止めたり
あわよくば自立した健康状態に戻すには、今の自分の老化がどこまで進んでいるかを
高齢者自らが正しくチェックし、その段階に応じた対応をしていく必要があります。
今までは病院を訪れて検査して貰うとか、チェックに多額な費用を要する器具が必要だったり
色々と敷居が高かったのですが、簡単な検査方法を東京大学のチームが考案しました。
そのチームは昨年末に「やっぱり同級生♪」との共同プロジェクトを主催した東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)
のメンバーの一員です。
IOGが考案したフレイルチェックは、冒頭の「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」の2つから構成されています。
もう一つのイレブンチェックは、「栄養」、「口腔」、「運動」、「社会性・こころ」と分類された11の質問に答える問診表です。
写真のように「はい」と「いいえ」が赤と青の欄で囲われています。
青の欄の丸が多ければ多いほど良く、赤は危険信号になります。
赤の欄の丸の数が6つ以上になるとフレイルのリスクはぐっと高まり
丸が1つ増えるごとにリスクが2倍増えていくことが研究によってわかっています。
同級生の皆さんもリスクをチェックしてみて、今日から改善に努めてください。
ポイントは、いつものように
「運動」「食事」「人との交流、社会参加」です。