毛細血管
近年、動脈と同様に健康度が重要視されているのが毛細血管です。
血管の総延長は約10万㎞で、地球2周半の長さです。
約100億本あるといわれる毛細血管は、血管の99%を占めています。
動脈と静脈の間に位置し、細胞に必要な酸素や栄養を届け
不要となった二酸化炭素や老廃物を回収するのが毛細血管の役割です。
そのため、毛細血管はあらゆる細胞と0.03mm以内にあるとされています。
逆にいえば、約37兆個といわれるすべての細胞の至近距離にまで、毛細血管が張り巡らされているのです。
毛細血管には小さな穴が開いており、適度に漏れることで周囲の細胞に酸素や栄養を届けることができます。
しかし、加齢などが原因で過度に血液が漏れやすくなったりすると
その先に血液が届かなくなってしまうことがあり、その状態が続くと、その先の血管が消滅してしまうのです。
この状態を「ゴースト血管」といいますが、最近テレビや雑誌でもたびたび取り上げられている現象です。
毛細血管が減ってしまう原因の一つは加齢。
毛細血管は40歳代から減りやすいといわれており、20歳代に比べると
60歳代では4割前後減ってしまうという報告もあります。
そして、高血圧や高血糖、脂質異常などが重なると、ゴースト血管化をさらに加速させてしまいます。
毛細血管が減るとどうなる?
毛細血管がなくなってしまうと、その先にある細胞に酸素や栄養が届きません。
それが皮膚に近い場所で起こると肌のシミやしわの原因に
頭皮近辺で起こると薄毛や白髪の原因になるといわれています。
また、酸素や栄養が届かないと、心臓は「もっと強い力で血液を送り出さないと」と判断してしまうため
高血圧になりやすくなり、動脈硬化を進行させることにつながり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも増えてしまうのです。
血液は酸素や栄養だけでなく、白血球も運びます。体のすみずみまで白血球を届けることで免疫に寄与しているのです。
ゴースト血管によって白血球が行き届かなくなる場所があると免疫力が落ち
風邪をひきやすくなるなど感染症のリスクが高まります。
また、薬を服用しても届かない場所があると、効き目が悪くなってしまうと指摘する専門家も少なくありません。
さらに、一定の温度の血液を運ぶことで、体温を維持するのも毛細血管の役目です。
そのため血流が途絶える場所があると、その先に冷え症が起こることもあります。
また、毛細血管が減ることで、アルツハイマー型認知症や骨粗鬆症のリスクが増すという見解もあります。
エネルギーが消費されにくくなるため、糖尿病のリスクも心配しなければいけません。