骨粗鬆症
今、大切な骨が危機に瀕しています。
骨粗鬆症という以前は老人の病気と考えられていたものですが、若い人にも多 数見られるようになってきたのです。
骨粗鬆症=骨からカルシウムが奪われて、骨の内部がスカスカになり非常にもろくなってしまい
簡単な外圧で骨折してしまう状態の事。
通常、その年齢の平均的な骨密度のマイナス30%以上を超えてしまうと「骨粗鬆症」と診断されます。
予備軍を含め、骨粗鬆症人口は、約1000万人!!そのうち女性が占める割合は80%以上。
50歳以上であれば、4分の1がなんと「骨粗鬆症」なのです。
主婦が部屋を掃除中に突然クシャミ!---第3肋骨を骨折!全治3週間!こんな笑い話みたいなことも現実には起きています。
何故骨粗鬆症が起こるのでしょうか?
その原因にダイエットや偏食によるカルシウム不足が挙げられます。
血液のカルシウム濃度が低下すると、骨のカルシウムが溶け出して濃度を一定に保とうとする働きが人間にはあります。
骨からカルシウムがどんどん流出し、知らぬ間に骨の中にはカルシウムが無いということが起こっています。
食事制限による無理なダイエットや、嫌いなものを食べない偏食などでカル シウムが不足していきます。
すると、破骨細胞がそれを補おうと、骨の中のカルシウムをどんどん血液中に排出。
緊急事態と思い込み、暴走をはじめるそうです。
その結果、骨の中にはカルシウムがなくなり、逆に血液中で過剰状態となってしまう。
脳はそのカルシウムを不必要なものと判断。尿として身体の外に排出してしまう。
カルシウムの足りないスカスカ骨が、さらにスカスカになっていく。
そうなってしまうと、必要な時に骨の中にカルシウムがない為
神経伝達や筋肉の収縮 にまで支障をきたしてしまうという恐ろしい事が体の中で起こっているのです。
この重要なカルシウムの身体においての役割を整理すると。
第一に神経伝達の役割(カルシウム = 神経伝達を行う物質)
脳からの指令を身体の各部署に届けるのが「カルシウム」。
神経細胞の中に カルシウムが出入りすることによって、電気を起こし、その電気信号で脳からの 指令を行き届かせる。
例えば、スポーツで筋肉を動かす場合も、脳からの指令がカルシウムによって届くので
カルシウムが不足していると、身体の全ての筋肉が動かなくなってしまう。
反応が遅れるのです。
痛みやかゆみ等の感覚を、逆に脳に伝えるものカルシウム。
神経を伝わる電 気信号は、カルシウムがなければ起こらないのです。
第二に血液の凝固の役割
怪我をした時に血小板などと共に血液を凝固させ、出血を止めるのもカルシウムの役目です。
カルシウムが不足すると血が止まらなくなってしまって大変です。
1日のカルシウム摂取量の目安
ビタミンDの役割
この大切なカルシウムの吸収を促進する大切な物質があったのです。
カルシウムは食べただけでは骨にはなりません!
ビタミンDの活躍がなければ、有効に利用されないのです。
食物から摂取されたビタミンDや紫外線をあびて皮膚で作られたビタミンDは体内で活性化され
この活性型ビタミンDがカルシウムの吸収を高めたり、血液中のカルシウム濃度を一定に保つなど、骨にとってプラスのさまざまな働きをしています。
しかしビタミンDは実は不足しがちです。
食品ではシイタケやキクラゲなどの茸類とサケやカジキなどの魚類に多く含まれています。
閉経によって女性ホルモンの分泌が低下することの他に、カルシウム不足とビタミンD不足が日本人女性が骨粗鬆症になる原因と言われています。
また、食事からのビタミンDが不足したり加齢に伴い肝臓や腎臓での活性化が弱まったりすると、活性型ビタミンDができなくなります。
そのため腸管からのカルシウムの吸収量が減り、これが加齢による骨量減少の原因の1つと考えられています。
ビタミンD不足の病気にくる病があります。
昔イギリス・ロンドンでは、深刻なビタミンD不足に悩まされていました。
特にその犠牲となったのが子どもたちでした。
ロンドン博物館の地下倉庫に、当時の悲惨な状況を物語る資料がありました。
ロンドン中の遺跡から発屈された17,000体にも及ぶ遺骨です。
ここに保管されているのは、産業革命期の遺跡から発掘された骨です。
中にはクル病を患っていた、こどもの骨がたくさんあります。
クル病は、ビタミンDが不足し全身の骨が柔らかくなる子どもの病気です。
自分の体重を支えきれずに、足の骨が変形してしまいます。
18世紀半ばに始まった産業革命。
急速に工業化したロンドンの空は、スモックで覆われていました。
日光がさえぎられ、人々はビタミンD不足に陥ったのです。
深刻なビタミンD不足によって、命を奪われた子どもも大勢いたと考えられています。
十分な日光にあたれず、クル病になっていた子どもの骨は1割にものぼっていたそうです。
ビタミンDの存在が知られていなかった当時は、何が起こっているのか知るすべすらなかったでしょう。
それから250年、スモッグが消えたはずのイギリスで、いま再びビタミンD不足が問題になっています。
肌の色
インドからイギリスに移住してきたウメッシュさん一家。
両親と5歳になる女の子そして1歳2ケ月になる男の子の4人家族です。
アラン君は、生後6ケ月のとき突然引付けを起こし倒れてしまいました。
姉のアリーナちゃんと元気に遊んでいたときのことでした。
かかえて揺すっても何の反応もなくそのうちケイレンし始めたのです。
病院に運びこまれたアラン君、ビタミンDが極度に少ない「ビタミンD欠乏症」と
診断されました。
血液中のカルシウム濃度が低下したため、全身の筋肉がケイレンを起こしたのです!
ホルモンの研究をしている専門家は、その原因がアラン君一家の肌の色にあると考えています。
イギリスでは肌の色の濃い人の90%以上がビタミンD不足であるといわれています。
とても深刻な問題です。
アラン君の褐色の肌を作っているのはメラニンという色素です。
メラニンは日本人の肌にもあり紫外線をブロックしています。
色の濃いインド人の肌にはメラニンがたくさんあります。
日光が弱いイギリスでは紫外線がブロックされすぎて十分なビタミンDが作れないのです。
ウメッシュさん一家は、全員がビタミンD不足の恐れがあります。
なぜアラン君だけが重いビタミンD欠乏症に陥ったのでしょうか。
母親はアラン君をイギリスで身ごもりました。
肌にメラニンが多いため妊娠中たくさんのビタミンDを作ることが出来ませんでした。
アラン君は、お腹の中にいるときからずっと十分なビタミンDを得ていなかったと考えられているのです。
もう1つがマグネシウムの存在です。
カルシウムの吸収率が 最も良いとされる摂取量の割合は、カルシウム2:マ グネシウム1 という割合だそうです。
マグネシウムの体内での働きは・・・
筋肉を動かすエネルギ-燃焼の手助け。
神経伝達を行う際に細胞内のカルシウム量をコントロールする。
骨の形成を助ける。
マグネシウムは骨芽細胞に働きかけ、カルシウムが骨に入る際の門番的役割を担っています。
マグネシウムがないと、カルシウムが上手く骨内に入り込めな いばかりか、せっかく取り入れたカルシウムも骨から流出しやすくなってしまうのです。
日本人はマグネシウムが慢性的に不足しています。その原因の一つに水があります。
欧米諸国…硬水(マグネシウム含有量が多い)
日本………軟水(マグネシウム含有量が少ない)
マグネシウム目標摂取量を厚生省が制定しています。
国民のマグネシウム不 足を懸念し、1日300mgという摂取量を打ち出しました。
マグネシウムを多く含む食品は以下の通りです。
◎貝類・豆類・海草類・緑の濃い野菜
カキ(5個)…49mg
ホタテ(1個)…345mg
大豆(1カップ)…50mg
納豆(半カップ)…57mg
ひじき(8g)…36mg
カシューナッツ(10粒)36mg
アーモンド(10粒)…210mg
玄米(1膳)…42mg
じゃがいも(中1個) 65mg
カルシウムの効果的な摂取方法が分かったら、カルシウムを骨に貯蔵する骨 芽細胞を活発にしてやらなければいけません!!
そのヒントは宇宙にあったのです!!
宇宙から宇宙飛行士が帰還すると
昔…自力で立てない程、筋肉が弱り、担架で運ばれた。
今…元気にタラップに降り立ち出迎えの人達に手を振る。
昔は知識がなかったので、宇宙で飛行士は運動しなかった為、筋肉が衰え立 つこともできなくなったのです。
しかし筋肉以外に、ボロボロになってしまっている器官がありました。
それ が、骨です!!
宇宙の無重力の状態の中では、身体を支える必要がないため、骨芽細胞の働 きが鈍り、カルシウムが骨に吸収されなくなってしまっていました。
このように、骨芽細胞を活発化させるには運動によって骨に負荷を与えるしかありません。
運動しない人は骨が劣化していくのです。
沖縄のおばあさんが長生きできる のも高齢にもかかわらず、農作業で体を動かしていることが大きいのです。
スポーツはそういう意味で、楽しみながら骨を鍛えることができます。
食事の バランスさえきちんと取ってれば問題ありません。
スポーツだけでなく日常生活でも車に頼らず自力で動く習慣をつけることが骨 太の体を作ります。
長生きの秘訣かもしれません。
今は平均寿命が延びていますので、80代くらいまで体を鍛えればテニスも楽 しむことができると思います。