網膜剥離

2011年東日本大震災の半月前の2月に私は網膜剥離の手術を受ける事になりました。
原因はやはり加齢でしょうか?よく分かりませんが仕事のストレスもあったかもしれません。
眼球の周りの網膜はものすごく薄くて弱くてつるつるしており、例えると湯葉みたいなイメージです。
それが眼の奥にへばりついているわけです。

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網膜にもともと弱い部分がある場合、そこがどんどん薄くなり、最終的に穴が開いてしまいます。
眼球の中は、硝子体という透明のゼリー状物質で満たされています。
穴ができると、そこから硝子体内の水分が網膜の下にしみこんでいき、網膜がどんどんはがれていきます。
これが網膜剥離です。
ほって置くと失明の危険性がある怖い病気です。
私の場合網膜が剥がれて最後は視界の下半分が、真っ黒になって見える景色が変わってしまいました。

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病院で朝検査してもらったら即入院で夕方手術となりました。
真っ黒な部分が全体に広がってしまうと失明ですから時間との勝負です。
以前白内障手術を経験している私ですが、今度の手術はそれを遥かに上回る大変な手術になりました。
先生も看護師の人数も倍以上に増えて、手術も2時間くらいかかるとの事でした。
今回は点眼麻酔では無く、眼の周りに注射器で直接麻酔をします。怖さと痛さで緊張が走ります。
痛さを堪えて手術開始。意識のある中での手術は精神的に疲れます。
今どのように手術が進行しているのか、想像するだけで痛みが感じられます。
身体を不意に動かさないように看護師が私の頭を抑えています。
長い長い時間が経過して大手術は終わりました。

私はこれでやっと解放されてゆっくり病院で療養出来るとその時は思っていました。
しかしこれからの一週間は過去に経験が無い辛い入院生活となりました。
手術が終わってベットに戻ってきた私は、先生から頭を俯けにして寝て下さいといわれました。
縫合した網膜が硝子体という透明のゼリー状物質の圧力で固定されて癒着するようにする為です。
上向きに寝ると硝子体の圧力がかからないので、網膜がまた剥がれる危険性があるのです。
1週間もそんな姿勢で過ごすのを想像してみて下さい。耐えられないですよね。

私は毎日寝る事も出来ませんでした。
うつらうつらしながらも熟睡出来ず、ストレスが溜まっていきました。
早く退院して普通の生活に戻りたいという気持ちだけで過ごしていました。
やっと終わって退院した時は清々しい気持ちでいっぱいでした。
眼帯を取って最終の先生の診察を終えて帰路につく事になりました。
しかしここから完治するまでに、更に時間が必要でした。

湯葉のようなツルツルした網膜を手術でつなぎ合わせている為に
表面がシワで覆われていて光が正確に反射してくれないのです。
その為に景色が歪んで見えます。
正常に見えるようになるまで1ヶ月は必要との事。
なかなか大変な病気でした。
それから普通にテニスが出来るまで3ヶ月もかかってしまいました。