筋肉と基礎代謝量の関係
一般的に、基礎代謝が高い人は筋肉量が多いといわれます。
その理由はどうしてなのでしょうか。
基礎代謝の中には筋肉による消費がおよそ2割
基礎代謝とは、安静にしていても消費される必要最低限のエネルギー量をいいます。
実際、一日中寝転んでいても、生きるために心臓が動き、呼吸のために肺が動き
さらに体温の維持のためにエネルギーを使います。
こうした、筋肉や心臓、脳などの基本的な活動量を表すのが基礎代謝量です。
基礎代謝の内訳は、次の通りです。
骨格筋:22%
脂肪組織:4%
肝臓:21%
脳:20%
心臓:9%
腎臓:8%
その他:16%
厚生労働省e-ヘルスネット「ヒトの臓器・組織における安静時代謝量」より
このように、筋肉は22%となっており、基礎代謝のうち約2割を占めています。
この基礎代謝が占める割合のうち、自分で量をコントロールできるのは
筋肉と脂肪組織しかありません。
脂肪組織は4%しかないので、基礎代謝を意識的に上げるには、筋肉を増やせばいいということになります。
しかし、筋肉をつければ劇的に痩せるような気がするというイメージを持つかもしれません。
実際、基礎代謝のうち、筋肉が占める割合は、全体の2割程度というのを思い出してください。
よって、筋肉をつけたからといって、その安静時の消費エネルギー量は、基礎代謝のうちの2割しか占めないので
筋肉をがんばって1kg増やしたとしても、結局数十キロカロリーしか、基礎代謝では消費されないのです。
よって、筋肉量が増えて基礎代謝が上がったとしても、劇的に痩せるというのはむずかしいことだといえるのです。
筋肉をつければ基礎代謝が上がり、普段と同じ活動量の生活をしていても
痩せ体質になり、どんどん痩せていくといったことがいわれます。
しかし、劇的に痩せるというのはむずかしいのも事実です。
確実に体重を落とすためには、意識的にカロリー摂取量と消費摂取量のコントロールをする必要があります。
運動量を増やすか、摂取量を減らすかどちらかになります。
しかし、最近では、運動量を闇雲に増やすとかえって食べ過ぎてしまうという考え方が多いため
摂取量を減らしたり、食べる内容を変えたりするほうが建設的です。
補足ですが、基礎代謝は人間が行う代謝のうち、約60~70%を占めているといわれています。
人間が行う代謝は大きく分けて3つに分かれます。
1.基礎代謝(約60~70%)
2.生活活動代謝(約20~30%)
3.食事誘発性熱産生(約10%)
2の生活活動代謝とは、普通の活動、歩く、仕事をする、運動をするときなどの消費エネルギーの量です。
3の食事誘発性熱産生は食事をするときに消費するエネルギーの量をいいます。
このことから、人間のエネルギー消費は、大部分が基礎代謝で占められていることが分かります。
基礎代謝は体格によって変わってしまうので、コントロールできるのは、生活活動代謝です。
エネルギー消費量を増やすには、日々の身体活動量を増やすことが普通の行為です。
基礎代謝を上げて太りにくくすることも大切ですが、日々の歩行運動などの生活上の動きは
ぜひ意識して増やすことが必要と考えられます。